祭りの案内人のマイスター

マイスター:朝野豊和 祭りの案内人

昭和29年に大町に生まれ育ち、都会で大学、専門学校、研修生活を送る。28歳で大町に朝野整骨院を開業、堀六日町舞台の囃子にかかわりながら、地元の祭りの魅力を再発見する。町内の囃子演奏のかたわら、大町舞台囃子保存会で舞台の調査研究、子ども囃子育成に携わる。「祭りは小さい子どもからお年寄りまでが楽しめる総合文化であり、人生のハレの日である。」と言う。「ただ見物するだけではなく、かかわる楽しさを共有しながら町づくり、人づくりができたらいいですね」と語っている。

大町の夏祭り(6 祭りは防災訓練)


現在続けている秋祭りの舞台紹介を中断し、昨年に続いて夏祭りを紹介させていただきます。



祭りになると幟旗を揚げます。現在はクレーンを使ったり、幟棹自体が既設されていたりして、昔ながらの幟揚げを見ることは少なくなりました。ローブを引く者、梯子で押す者、音頭を取る者が一体となって作業します。こうした柱を立てるといった作業は御柱や祇園鉾立ても同じであり、祭には欠かせない作業であり儀式でもあります。大切なのはお互いの役目を理解して一致協力することです。それには地域の団結を日頃から培っていなければなりません。 「祭りは防災訓練でもある。」という学者がいます。祇園祭を例にとれば、鉾先約20m、胴高8m、重量12トンといった山鉾を組み立てて巡行するには、祭りを進行する者、組み立てる者、引く者、囃す者、衣装や食事を用意する者など、さまざまな役目が必要であり、巨大な山鉾を辻廻しする光景に人の集う力の凄さを感じるのは私だけではないと思います。



そして、単に行事ではなく感じさせているものとして、祭りの芸術性と信仰があげられます。動く美術館といわれる山鉾、コンチキチンと響く祇園囃子、無病息災といった人の力を超えたものへの民衆の祈りを乗せて、祭が進行していくからではないでしょうか。こうした、生きるために不可欠ともいえる訓練を、楽しみながら継続していける形にし、この地に暮らす者の誇りとし文化にしてきたのだとすれば、先人たちの知恵とは何と素晴らしいものではないかと感動せずにはいられません。 祇園祭りを例にとりましたが、我々の地域の祭りも規模こそ違いはあれ、全く同じものであると思います。幟揚げがクレーンや既設になり、炊出しの胡麻塩のオニギリが弁当になり、提灯が電池式になり、危ないもの、面倒なものは安全なものや便利なものへと変わってきていますが、その中の精神は見直し、忘れないでいたいと思います。



阪神淡路、東日本大震災には日本人の整然とした姿に世界が驚き、日本人の持つ精神性に感嘆したと聞きます。世界中に祭りはありますが、ことに日本の祭りは防災訓練といった一致協力する面があるように私も感じてなりません。 こうした視点で祭りをみると、祭が新しい魅力をもって見えてきます。



今年の王子夏祭りは7月24日(宵祭り23日)開催です。祇園祭りも今年は絶好の曜日となります。是非おでかけください。