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八日町舞台は文久三年の建造とされ、唐破風の屋根に二輪構造という造りは例がなく、階上の幔幕も白地という飾り付けと、全体に朱を基調とした漆塗りは、巡行舞台の中でも異色の存在感があります。
二輪構造の舞台は美麻地区が多く、山地での巡行を容易にしていますが、これらはみな、板車輪と呼ばれる一枚板や張り合せのもので、内付け構造です。しかし、八日町の車輪は御所車と呼ばれる様式のもので、縁起をかつぐためといわれる七枚の羽板と小羽板を持ち、21本の輻(ふく)からなる外付けの構造です。
町は近年、舞台修復時に高額な負担で車輪を新調しました。朱と黒に塗り分けられた車輪に、八日町の人たちの心意気と、皇大神宮を擁する町としての誇りを感じさせてくれます。
皇大神宮は王子神社の遥拝殿として明治の神社合併の折にも残され、現在でも八日町通りの巡行に際しては、王子本殿と同じ奉納曲である「本囃子」を各舞台は奏上し、宮の入口においては停車し、拝礼する習わしになっています。
囃子は他町と同様の曲ですが、「三曲」「数え歌」などといった雑囃子では、曳き手方と一体になった唄ものの演奏が、ひと際華やいで聞こえます。近年では三味線の演奏も加わり、個性あふれる舞台に、独特の囃子と唄を響かせながら、自在な転回で街を往来します。