自然観察人のマイスター

マイスター:鹿田敏彦 自然観察人

高瀬の森でカフェギャラリーと温泉付き貸別荘 「ベルヴィル」を経営するかたわら、安曇野を中心に花、動物など自然風景の写真を撮影。観光リポーター、「広報おおまち」市民記者などとして、四季を通じた美しい大町市の風物を市内外に向けて情報発信されている。

扇沢の花たち

立山黒部アルペンルートの出入り口である扇沢。ここにある大町市の扇沢総合案内センターの敷地内に、小規模ながら所長さんが丹精込めた高山植物園があり、季節の移ろいに合わせて様々な花を楽しむことが出来ます。今咲いているのは、こんな花々です。

snobi.jpg
①ノビネチドリ
「延根千鳥」と書く、山地から高山の林の下などに生えるラン科の多年草です。北海道では海岸や人里の草地で見かけることもあるとか。
学名Gymnadenia camtschatica。Gymnadeniaはテガタチドリ属のことです。
同じ仲間のテガタチドリは、葉の縁がまっすぐですが、ノビネチドリでは波打つのが識別のポイントになります。和名の由来もテガタチドリの根が掌状で「手形」なのに対し、掌状にならず伸びるため「延根」といいます。









shime.jpg
②ヒメシャガ
「姫射干、姫著莪」と書く、山地のやや乾いた林の下に生えるアヤメ科の多年草です。
学名はIris gracilipes。Irisはアヤメ属のことで、ギリシャ語の虹を意味し、花色の変化が多く美しいので、ギリシャ神話の虹の精アイリスの名をもらったといわれています。
ギリシャ神話によると、アイリス(イーリス)は、虹の女神とか、天地間の伝道宣伝の女神であるとか、「風の足のイーリス」などと呼ばれ、トロイア戦争でも伝令役として重要な役割を果たします。
和名の由来は全体の様子がシャガに似ていて、小型で優しい感じがするから。なお、シャガは、その草状がヒオウギと似ているため、その漢名の「射干」からついたのだとか。なんだか、ソックリさんのソックリさんって感じですね(^^A
この花のことを現代歌人の土屋文明が
みちのくの処女のともの送り来し 花かつみはよくある姫しゃがならむ
と詠んでいます。
花言葉「友人が多い」「反抗」「私を認めて」「変わらぬ愛」「誠実」「哀しみ」


③クリンソウ
「九輪草」と書く、山地や山麓のやや湿った所に生える、サクラソウ科の多年草です。
学名Primula japonica。Primulaはサクラソウ属のことで、ラテン語の「初め」あるいは「最初の」と言う意味で、ヨーロッパではサクラソウの仲間が他の花に先駆けて咲くことから。japonicaは文字通り日本の。
和名の由来は、輪生する花が多層になり、寺院の塔の頂上にある九輪を連想させることから。
小林一茶が
九輪草 四五輪草で 仕舞けり
と詠んでいます。
花言葉「物覚えの良さ」「少年時代の希望」「悲痛」「物思い」「幸福を重ねる」


skuri.jpg